あなただけ見つめてる
春果
あの後部屋に戻ったあたし。
なぜかお父さんにまで筒抜けになっていて
「明日、一緒に海外へ飛ぶ」
電話が来て単刀直入に言われた
「むろん、一切の反論は認めん」
「はい」
もう、これで大我にもチョコを渡せなくなっちゃう・・・か
もっと、大我に沢山のチョコを作ってあげたかったのになぁ・・・
(本命だけど、言えないからチョコを渡すしかできなかった)
でも、次に会う時には、大我の横には、彼女か奥さんになる人がいるんだろうなぁ
「では、明日10:30までに羽田に来なさい」
羽田?
何で羽田?
海外って言ってもそう遠くないのかな?
「わかりました」
そう言って一方的に切られた電話
ぽたぽたと溢れてくる涙
ドアをたたいている音が聞こえているけど
今は誰にも会いたくなくて
何も言わなかった
「千代」
「どうした?」
千代にだけは、話をしておいた
あたしと大我が義理の兄妹だってことも
もう、大我にチョコを上げられないことも
明日には海外に飛ぶことも
大我に告白することなく、失恋することも____
「そっか」
「うん」
「しょうがないよね。好きになったのが
たまたま義理のお兄さんだったってことでしょう?」
「うん」
「春果が決めたことなら、あたし何も言わない。
春果が後悔しない道を進んでくれたら、それでいいよ」
「ありがとう」