あなただけ見つめてる

春果


あの後部屋に戻ったあたし。

なぜかお父さんにまで筒抜けになっていて

「明日、一緒に海外へ飛ぶ」

電話が来て単刀直入に言われた

「むろん、一切の反論は認めん」

「はい」

もう、これで大我にもチョコを渡せなくなっちゃう・・・か

もっと、大我に沢山のチョコを作ってあげたかったのになぁ・・・
(本命だけど、言えないからチョコを渡すしかできなかった)

でも、次に会う時には、大我の横には、彼女か奥さんになる人がいるんだろうなぁ


「では、明日10:30までに羽田に来なさい」

羽田?

何で羽田?
海外って言ってもそう遠くないのかな?

「わかりました」

そう言って一方的に切られた電話

ぽたぽたと溢れてくる涙
ドアをたたいている音が聞こえているけど
今は誰にも会いたくなくて
何も言わなかった

「千代」

「どうした?」

千代にだけは、話をしておいた
あたしと大我が義理の兄妹だってことも
もう、大我にチョコを上げられないことも
明日には海外に飛ぶことも

大我に告白することなく、失恋することも____

「そっか」

「うん」

「しょうがないよね。好きになったのが
たまたま義理のお兄さんだったってことでしょう?」

「うん」

「春果が決めたことなら、あたし何も言わない。
春果が後悔しない道を進んでくれたら、それでいいよ」

「ありがとう」
< 118 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop