あなただけ見つめてる

お昼休み。あたしといつもの2人と
一緒に、空き教室へ

この2人には、直接あたしが自分で言いたい

「紗菜?」

「どうしたの?食べてないじゃん」

「うん。2人に話しておこうと思って」

「「?」」

「何よ。改まって」

「あたしね。引っ越すことになった」

「え?」

「あの家を出るってこと?」

出るだけだったら、いいんだけど

「家を出る。か。それもあたりなんだけど」

「なんだけど?」

「あたしね。お父さんの転勤で、海外に行くことになって
今日で学校来るのも最後なの」

「!?」

「嘘でしょ?ねぇ!嘘だって、そう言ってよ!紗菜!」

「亜紀。止めな」

「で、でも、だって」

「亜紀。紗菜を見てみなよ」

「あっ」

「ごめん。2人とも・・・
でも、直接2人には言いたかったの」

「そう。そのこと、アイツは知ってるの?」

アイツ
きっと、結城の事を言っているのかもしれない
でも

「言ってないし。言うつもりもないから」

「紗菜。あんたがそう言うなら、あたしは
あたしたちは何も言わない。
でも、ちゃんと連絡ぐらいしてよ?」

「勿論」

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