あなただけ見つめてる

看護婦さんが言った通り、午後には退院できた。

「優香。帰ろ?」

手を差し出してくれる、宙の手を握るも
力が入らない

「アブねぇ」

「ごめん」

「こうして行っちまうか」

そう言って抱きかかえてくれた宙。

「///」

恥ずかしいじゃん

宙の胸の所に顔をうずめて顔を隠しているも

「真っ赤だな」

ってからかう宙。

「うるさいっ」

「じゃあ、降りるか?」

「やめっ」

立てなかったの知ってるくせに・・・

お会計を済ませて
車に戻るも
マンションへ向かっているわけではなさそう

「どこに行くの?」

「んー?不動産」

へ?

やっぱり、離婚する気なんだ

「お前が考えてることは、まずないから」

「へ?」

「俺は、離婚はしないよ」

しないの?
だって

「あの熱愛報道は、嘘だから」

嘘なんだ

「で、今度は家族が増えます。
更に、にぎやかになります」

「はい」

「だったら、広い土地でも買って、家を建てようかなと思っています」

「はい」

・・・

「はいいい!???」

「やっぱそのリアクションか」

いやいや。だって
あのマンションだって広いよ!?

「俺は子供に各1つづつ部屋を与えてやりたいんだよ」

それはわかるけど・・・

「だったら、あのマンションじゃ無理。
戸建ての方が早い」

そういうことですか

「任せます」

「そうしてくれ」

ぷっと2人で噴出して
笑ったのなんて、いつぶりだろう?
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