あなただけ見つめてる
1週間後
あたしは、お父さんと一緒に成田空港の
スイス行きの場所にいる
「紗菜。今更だけど、これで良かったのかい?」
「うん」
これで良かったの。
これで・・・
「何も、結城にまで黙って行くことは・・・」
「いいの」
結城には、あたし以外の女の人がいいんだよ
あたしが嫌いだから、話もかけてこないし
目も合わせてくれない。
一緒に居る時間なんて、もう、ないんだよ・・・
「そうか」
=まもなく、スイス行きの搭乗を開始いたします。
ご利用のお客様は=
「行こ?」
そう言って、お父さんと一緒に歩き出した時だった
「・・な!」
え・・・?
後ろから聞こえた声は、あたしには懐かしすぎるぐらいの
聞き覚えのある声で
でも、ここに、いるはずなんてない
だから、振り返ることも、しないで
歩みを止めることもなく、進んでいた時だった
ガシっ
「!?」
「紗菜っ」
「なんで?」