あなただけ見つめてる

だって、まだ、学校だって始まっていない時間帯。
なのに・・・

「何で、黙ってた」

「え?」

「何で、海外に行くこと、俺に黙って勝手に決めた」

何でって・・・

「つーか。あいつ等が教えてくれるまで知らないって
どうなんだよ?」

アイツら?

「お前と仲のいい」

まさかっ

「亜紀とリカ?」

何で?

「ってか。まさか、学校に退学届けまですでに出してたとは知らなかったけどな」

え・・・?

「つか、何で俺がお前と同じ学校にしたか分かってんのかよ?」
知らない

「俺が、どんだけ、お前を好きか、分かれよっ」

「!?」

嘘。
嘘だよ。
だって、いつもいつも、結城の周りには女の子がいるじゃんっ
あたしとはろくに目も合わせない。口も利かないのにっ

「紗菜。もう、時間だぞ」

「小父さん」

「結城。どうした」

「紗菜を、こっちに残せますか?」

「急には無理だろう」

何言ってるの?

=お客様にお知らせ致します。
スイス行きのご搭乗がお済出ない方は、速やかにご搭乗願います。
まもなく=

「結城。ごめんね。結城に何を言われても
答えることなんて、出来ない。
あたしは、お父さんと行くって決めたの」

「っ」

でも、これだけは許してくれる?

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