あなただけ見つめてる

スイスに来て数年。

お父さんも、スイスで知り合った人と再婚した。
その人との間にも子供が出来て、幸せの中。

「お父さん」

「ん?どうした?」

「あたし、日本で仕事をしようと思って」

「そうか・・・寂しくなるな」

「うん。だから」

「わかった。紗菜が決めたことなら、俺は反対できないな」

お父さん・・・

「それでも、ダメなら帰ってきなさい。
お前の帰ってくる家は、ちゃんとここにある。
お前の居場所も、ここにちゃんと用意しておく」

「うん。ありがとう」

部屋に戻って、数年ぶりに荷物を整理した。
こっちでも、少しはバイトとかしながら貯金してたし。
ある程度はたまっているはず・・・

「結城・・・」

あなたの隣は、もう、誰かきっといるよね・・・
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