あなただけ見つめてる

日本行きの飛行機に乗って数日

あたしの来た場所は
以前住んでいた家。
まだ、誰も住んでいないこの家を
今度はあたしが1人で住む

家の周りも、変わっていないようで
少しずつ変わっていて

「紗菜?」

「亜紀?」

あの頃と何も変わっていない。亜紀の姿。
だけど、変わっていたのは、亜紀の足元にいた
小さな子供。

「元気だった?」

「うん」

「あの時、リカと2人で結城君に話しちゃってごめん。
でも、紗菜に後悔してほしくなくて、勝手に話した」

「いいの。リカも元気してる?」

「うん。元気。
あの子今、結城君と同じ会社にいるはずだけど」

え?

「ってか。結城君。会社立ち上げてて
そこに一緒に働いてるって感じなの」

そうなんだ

「あたしも、今は育休だけど、もう少ししたら
社会復帰する予定だし。
で?紗菜はどうしてこっちにいるの」

「帰ってきたの。こっちで働こうと思って」

「そっか」
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