あなただけ見つめてる
「え?」
「悪いな。紗菜。
咲姫、紗菜が帰ってこないから、きっと情緒不安定なんだ」
そっかとつぶやいた紗菜。
「紗菜?」
「咲姫。明日また連れて貰っておいで?」
「あした?」
「そう。ママ、ここにいるから」
「きてもいいの?」
「もちろんよ。可愛い、可愛い。あたしの娘だもの。」
「うわぁぁぁん」
「咲姫?」
きっと、紗菜は咲姫が欲しい言葉を
伝えることが出来るのだろう。
それは、きっと2人目の娘が生まれても変わらないだろう
「おいで。咲姫。ママは咲姫の事嫌いじゃなかっただろう?」
「う・・・んっ」
「明日、また連れてきてやるから。
今日はパパと帰ろうな?」
「うん」
まだグズグズと泣いている咲姫を抱き上げて帰る俺を
見送ってくれた紗菜。