あなただけ見つめてる
「まーい?あたしたち帰っちゃうよー?」
「ダメぇーーー!!」
泣きながら走ってくるのは、物陰に隠れていた麻衣ちゃん。
現在、絶賛人見知り中らしい。
咲姫のスカートにしがみ付いて離そうとしない麻衣ちゃん
「あんたも大変ね?」
「あはは」
こんなのがほぼ毎日なんだろうと思うと
気がめいってしまって、あたしには無理だと思う
「「せんせー。さようならー」」
「はい。さようなら」
手を振ってくれる先生に手を振り返している海斗君と麻衣ちゃん。
海斗君は双子と一緒に手をつないでいる。
麻衣ちゃんは咲姫にしがみ付いて離れようとしない
幼稚園からも、そう遠くない場所にある
高層マンション。
その最上階にこの子たちは住んでいる。
寧ろ、お嬢様の部類に入るのだろう。
だけど、それをしないのは、下の子たちの為でもあるって前に聞かされた
「ただいまー!」
幼稚園バッグを玄関に放って家の中に入っていった海斗君と麻衣ちゃん。
それを持って行くのは双子の妹たち
咲姫は、洗濯物を取り込んでいる。
「海斗ー。麻衣ー。幼稚園の洋服着替えちゃってー」
「やだー」
って言う海斗君と
一生懸命着替えている麻衣ちゃん