あなただけ見つめてる

手際よく作っていく咲姫はみそ汁をすでに完成させている。

「さきちゃん。お腹すいた」

「もうちょっとだから待ってて」

大きいお皿にフライを盛り合わせて
みそ汁とご飯。サラダも持って行くと一斉に食べ始めた姉弟たち

「すごっ」

海斗君のを優羽ちゃんが
麻衣ちゃんのを優奈ちゃんが取り分けて
食べやすいようにしているのを見ると、兄弟愛を感じてしまう

「いつもあぁなの?」

「両親がいないときは。
普段は2人共お父さんが見てくれるから」

そうなんだ

「羨ましいなぁ」

「え?」

あたしは1人っこだし。面倒を見てくれる兄弟もいないから
咲姫たち兄弟を見ているとすごく羨ましい

「あたしはさ、こういう家計だから、ちゃんと理解してくれる人がいいなぁ」

「は?」

だって、え、
あの。例の彼氏はどうしたの?

「咲姫、彼氏いたよね?」

「別れたけどね。
アイツさ、家族よりも自分を大切にしてほしいやつだったんだよ」

「!?」

「今日みたいに、電話がかかってくれば、こうやって
兄弟を優先しなくちゃいけない時だってあるのにさ。
アイツは、そうじゃなかった。他の兄弟・・・つまりは
優奈や優羽に全部を任せればいいじゃないかってそう、あたしに言ったわ」

「そんな・・・アイツってそんな男だったの!?」

< 196 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop