あなただけ見つめてる
あの後、とりあえず、パパの運転で
隣県まで来てみたけど
自然があっていいところかもしれない。
東京とは違った空気が気持ちいい
「私、こっちに住みたい」
と即住む場所(県)を決め
アパートの内見
パパは少し不満そうだったけど
それでも、セキュリティーはしっかりしてたし
1人で暮らすには十分な広さがあって
私はそこに決めた
そんなこんなで、少しずつ
少しずつ荷物を運び
颯がいる休みの日には
あまり外には出ず、家の中で荷物の整理
もしくは前日から隣県に行って荷物の配置や
家具を見に行ったりしてる。
家具だけは、手を抜きたくなくて
パパにお願いして、いいものを買ってもらった
そして、引っ越し当日
「じゃあ、お世話になりました」
「馬鹿ね。夕陽はいつまでも夕陽で
あたしたちの娘なんだからいつでも帰ってきなさい」
ママ
「お姉ちゃん。雪もいっしょに行きたい」
「休みの日に待ってるよ」
「行ってもいいの!?」
「もちろん。でもちゃんとパパたちに行ってから来るのよ?」
「うん」
雪もあまりぐずらなくて、その代わりに
たまに行ってもいい?って聞いてくるもんだから
私もそれに断れなかった
「落ち着いたら、ちゃんと連絡頂戴ね」
「うん」
「じゃ、みんなも、元気でね?」
パパの車に乗り込んで発進した車の先に
見えたのは
電話をしながら歩いてる颯の姿
「・・・っ」