あなただけ見つめてる
「宙にも話しておくわね」
「うん」
未だに、名前で呼び合っている両親がうらやましい
私にもそんな人が来るのかな?
「えいっ」
ぽんっと私に抱き着いてきた桜
「どうした?」
「どっか行きたい」
どっか行きたいか・・・
でもなぁ・・・
「桜。夕葉を困らせちゃダメでしょ」
「や、なの」
「だーめ」
後ろから抱き上げてくれたのは
颯と一緒に来た夕陽で
「ゆうひちゃん」
「ただいま。桜」
夕陽は、子供の面倒を見るのが上手だ
まぁ、年が離れているのもあるかもしれないが
「おかえりさない」
桜もほほを夕陽にすり当てているうちに
私は自分の部屋に
「はぁ・・・」
「なんだよ。ため息ついて」
「何でもない」
「ンなわけあるか」
はい?
「夕陽が心配してたぞ」
「夕陽が?」
「ずっと思いつめてるみたいで
きっと、私が聞いても答えてくれないだろうからって」
「ばれてるんだね」
「まぁ、そうだろうな。
俺たちよりもはるかに一緒に居る時間は長い
あいつにはそれがわかったんだろ」