あなただけ見つめてる
「この間、お見合いしてきたの」
「そうなんだ」
「夕陽も知ってると思うんだけど」
「私も知ってる人?」
「そう。佐々木翔(ささきかける)」
「あー。あいつね」
「おい」
「いいんじゃない?
どっかの誰かさんみたいに、女遊びとかしてなさそうだし
きっと、夕葉の事、大事にしてくれるんじゃない?」
「ありがとう」
「でも、意外だったなぁ」
「は?」
「夕葉なら選びたい放題だったんじゃない?」
「うーん。そうでもないんだよね?」
「へぇ」
「でね?私、翔についていくのに、海外に飛ぶの」
「「は!?」」
「翔、外資系企業に勤めてるの。
海外の転勤なんて当たり前だし、日本に居られる方が奇跡に近いって
翔に言われてる。今回も、ほんの少ししかいられない時間を割いて
お見合い、引き受けてくれたの」
「そうだったんだ」
「なぁ、その外資系って」
「pureIgnitted(ピュアイグナイテッド)」
「そこか」
「?」
「颯?」
「いや。俺の会社の下についてる会社なんだ」
「!?」
「だけど、海外転勤なんて、俺許可してねぇし
ねぇはずなんだけど」
え!?