あなただけ見つめてる

「少し、考えたい」

やっとの思いで出た答えは
これだけだった。

考えたい。
だって、颯は、そう言っても
帰ってきたら?
また同じことの繰り返しかもしれない

全部終わらせて、お父さんと家に帰って
お母さんに話してみた

「そうね。あたしも、宙と同じようなことがあったけど」

え?

「お母さんもあったの?」

「あったわよ?あの時は、
夕陽たちも生まれて間もなくて、宙も
仕事がアナウンサーで忙しかったし、すれ違った後の
浮気未遂だったしね」

浮気未遂・・・

「お父さんが本当に浮気をしてたら、どうしてた?」

「離婚してたわよ。子供たちには可哀そうだけど
浮気してる旦那をそばで見てるなんてできないもの」

さすが、お母さん。
母は強しっていうのはこういう事なのだろうか

「でも、最後に決めるのは夕陽と颯君なんだから」

私と颯が決めること・・・

「まぁ、今まで通りとはいかなくても
少しづつ改善していけばいいんじゃない?」

「うん」

「涼真にとっての父親は嫌でも颯君なんだから」

そっか
そうだね。
< 91 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop