あなただけ見つめてる
1週間後
まさかの颯からの迎えが
「やっぱり迎えに来たか」
「はい」
「あがれ」
上がってきた颯とお父さん
「夕陽。涼真もここに居なさい」
へ?
「いない方が」
「いた方がいい」
そう言って少し離れて、私たちは座った
「わかるか?これが今の颯と夕陽の距離だ」
「こんなに離れてるんですか?」
「そうだ。お前がしたことのことが決定的なんだろう」
「わかっています。自分がどれだけ愚かなことをしたのか
それだけのことを夕陽にも涼真にもしてしまった」
それだけ言って下を向いてしまった颯
「もう、いいよ」
「え?」
「顔を上げて」
顔を上げた颯は、今にも泣きだしそうな顔をしていて
「私ね?颯に子供ができたって言ったとき
大事にしてくれるか、分からなくて、心配だった」
「あぁ」
「でも、大事にしてくれたのって、どれくらいだったか覚えてる?」
「今だって」
「違うよ。涼真が1歳になるまでだった。
それまでは、ちゃんと見てくれてた。
なのに、ズリバイが始まってハイハイをし始めた時になって
今、1番大変な時期に颯は、面倒なんてって思ったんでしょう?
見てくれなくなった。テレビを見るだけで、何が忙しいのかも
私には理解できない。」
「それは」
「私の方が、ハイハイしてる涼真を見ながら家事も
何もかもしてる私の方がいつも、いつも倒れそうだった」
「・・・っ」
「颯。お前は夕陽をどう思っているかは知らない。
だけどな?夕陽はあれだけのことをされたのに、この間
お前の家をきれいにして行ってくれて、飯まで作っている。
どこを探しても、夕陽に愛されているのはお前だけなんだ。
その自覚はあるのか?」
「なかったです」
やっぱり
「やってもらって、当り前の時代じゃないんだよ?
私も全部が全部できるわけじゃないし、颯に頼りたかったのに
頼らせてももらえない。
だけど、今こうやって実家に帰省して
お父さんやお母さん、たまに愛や雪にも手伝ってもらって
何とか生活をしてる。」