あなただけ見つめてる
「そうか」
「子供が嫌いな夕葉だって、結婚したての新婚さんなのに
時々顔を見せては、涼真の面倒を2人で見てくれて
自分の時間もちゃんとくれる。
颯にないのは、そこなんだよ」
「俺にないもの?」
「優しさだけじゃないの。颯には、協力性が全く感じられないの」
「颯さ、子供が嫌いなら、最初から作らなかったら良かった?
それとも、降ろせばよかった?」
「そんな、そんなことを言うな!」
「そんなことって何?」
「お母さん?」
「颯君。あたしたちはね?夕陽を悲しい思いをさせるために
桜庭に嫁がせたわけじゃないの。
跡取りを産むために、夕陽をお嫁に出したんじゃないの」
「・・・」
「今の、颯君に夕陽と涼真を預けていいって自信を持って言えない。
あたしたちは。」
「はい」
「だけど、それを決めるのは、夕陽にも言ったけど
あなたたち2人なの。
颯君が嫌でも、涼真の父親は颯君なの」
「いやでも父親か・・・」
「少し、2人で話し合いなさい」
それだけ言うと両親はそろって
ダイニングからリビングへ
それでも、私たちの会話は聞こえるんだけどさ
「夕陽。俺が、お前に甘えてたんだな」
「え?」
「仕事から帰ってきて、毎日出迎えて欲しいそう言ったのに
いざ、涼真ができたら、最初のころだけで
今はそれすらなくなったから、寂しくなったのと
涼真を取られた気分になって妬いてたんだ」
馬鹿じゃん
「この間、涼真なしで、来てくれた時」
うん、お父さんも一緒だったけど
「内心、ほっとした自分がいて。本当は
涼真がいて、夕陽がいて安心しなくちゃいけないのにな」
「うん」
「出て行かれた時も、最初どうしていいのかわからなくて
手探りでやろうとも思ったけどできなくて
母さんや兄貴夫婦にも手伝ってもらったりしながらやってたんだ」
手伝ってもらったんだ
「それでも、3日間しか持たなかったなんて馬鹿みたいだよな
夕陽は、もっとつらい思いをしてたのに」