あなただけ見つめてる
「俺。1人じゃ、なにもできないけど
夕陽と涼真と一緒なら、また頑張れるから
これからもっと、夕陽を手伝えるようにもするから
戻ってきてほしい」
「・・・っうん」
「話し終わったみたいだな?」
お父さん・・・
「パッパ」
そう言って、颯に手を伸ばす涼真
「俺が、抱いても平気か?」
「平気よ」
離れてても、父親が颯だってわかるのね?
「颯。次夕陽を泣かせたら、その時は容赦しないからな」
「はい」
涼真を抱いて
私の方へ向き直った颯が、珍しく
手を差し出してきてくれたから
もう1度だけ、信じてみようと誓って
颯の手を握り返した
「帰ろう。俺たちの家に」
「はい」