あなただけ見つめてる


「ん・・・」

ここはどこ?

あたし、確かリビングで寝ていたはずなのに
今、いるのはフカフカのベッドの中

「あっお嬢様、起きられましたか」

!?

しゃ、しゃ、

「しゃべったぁ!?」

「おやおや、私はもう長い間ずっとこの姿で
話していますよ」

へ?

「ご主人様が御呼びになっています」

ご主人様?
誰?

まさか、おとぎの国の王子とか?

そんなわけないか

広い広い部屋に呼ばれたと思ったら
そこにいたのは、まさかの獣

「ご主人。連れてまいりました」

「うむ」

これが、主人!?

人間だと思ってたのに

「人間じゃなくて悪かったな」

!?

「ここに来る人間は、みな同じことを思う
そして、余を人間に戻せないまま、この世を去っていくのだ」

ふーん

「そこで、貴さまに頼みがある」

あたしに頼み?

「私を、元の人間の姿に戻してほしいのだ」

へ!?

元は人間なの!?

「む、無理です!」

「無理ではない。ここに来る人間は、やらざるを得ないのだ」

強制的なのね・・・
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