あなただけ見つめてる

翌日

「おはようございます。お嬢様」

「お、おはよう、ございます」

まだ、この時計がしゃべるのに慣れない

「このままでは行けませんね。」

「では、こちらの洋服はどう?」


!?

今度は、タンスがしゃべるの!?

タンスがタンスの中から出したのは
黄色いフリルがついたドレス

「あ、あたし、こんなのに合わないっ」

「いいえ。似合いますとも」

黄色なんて、来たことなんてないあたしが
似合うわけがないでしょう??

他の道具たちも出てきて
あたふたしている間に、身支度ができてしまった

鏡を見たあたしは

「これ、あたし?」

「えぇ。そうですとも」

嘘だと思いたい

「とても、お似合いですよ」

ホホホと笑いながら部屋のドアを開けた時計

「遅い」

そんな時間かかってないと思うんだけどな

「申し訳ありません。なれないもので」

「ほう。
馬子にも衣裳だな」

「そーですか」

分かってるわよ。この格好が似合ってないことなんて

「行くぞ」

獣の手でエスコートされてると
なぜか不思議な気分

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