もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
いやでも、いくらイケメンといえど、私は一応彼氏がいる身。
さすがに気持ちに応えることは…
いやでも想われるのは自由っていうか…
いやでもしかし…!!
「なに難しい顔してんの?」
ヒョイッと私の顔を覗き込むのは渓渡。
今は放課後。
今日は渓渡は部活オフの日だから、一緒に帰るところ。
「あ、ごめん!ちょっと考え事してて」
「考え事?紗英が珍しいなー」
「ちょっと。いつも何も考えてないみたいじゃん?」
「実際そうじゃん?」
「もう!」
怒ると、楽しそうに笑う渓渡。
渓渡の顔はもともとタイプだけど、笑った顔はもっと好き。
もう何度目かもわからないキュンをした時だった。
「あ、紗英じゃーん」
…は?
下駄箱前に座り込んで、ヒラヒラ私に手をふっているイケメン転校生。
っていうかなんで下の名前呼び…?