もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
「…私の隣は深山くんのはずじゃ…!」
黒板に張り出された座席表によるとそのはずだ。
「あー。そうだったんだけどね?深山くんに席交換しない?って提案したら、快くオッケーしてくれたよ」
ハヅキの席だったはずの場所を見ると、深山くんが所在なさげに座っていた。
私と目が合うと、ビクッと肩を揺らして視線を外す。
…あの怯えよう。
「深山くんに何したの!?」
「んー?べつに、なにも?」
絶対嘘だ。あー、もう…
「…もう私に関わんないでよ…」
その時、先生が入ってきたので私は仕方なく席に着いた。
2年3組の担任は、マキ先生っていう女の先生。
若くて可愛くて、1年生の頃から学年で一番人気だった。
「じゃぁ出欠取りま…ん?」
目ざとく異変に気付いたマキ先生が、座席表と見比べる。
「こらー!高橋葉月くんと、深山健太くん。勝手に席交換したらダメでしょ?」
「す、すみません…」
絶対に深山くんのせいじゃないのに、身を縮こませる深山くん。
「せーんせ」
そんな深山くんとは対照的に、ハヅキが機嫌よく先生を呼んだ。