もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
2年生になったら。
たくさん友達作って、できたら彼氏も作って。
今度こそ楽しい高校生活取り戻すって思ってたのに。これじゃ何も変わらない…!
クラスメイトの自己紹介が始まっても、絶望感でいっぱいの私の耳には何も入ってこない。
すると。
ふっと手にあたたかな温もり。
見ると、机の下、ハヅキが左手を伸ばして、私の右手を握っていた。
振りほどこうと思ったけど、キュッと握る手に力をこめられる。
右手の人差し指を当てたハヅキの唇が、「しー」と動いた。
「はなして…!」
私の必死の願いにもハヅキは余裕の笑みで躱すだけ。
そして慌てる私をあざ笑うように、親指でそっと手の甲を撫でてきた。
「…っ、」
教室。いちばん後ろの席。
なんだかすごく、イケナイことをしている気分。