もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
初恋のたまごタルト
「ね。あんた、早見紗英?」
今日は始業式とホームルームのみ。というわけで、私はさっそく帰り支度をしてたんだけど。
通路を挟んで隣の席。
つまり、ハヅキとは反対側の隣の席から突然名前を呼ばれた。
見ると見覚えのない男子がじっと私を見つめている。
金というよりは白に近い色の抜け切った金髪に赤いピアス。
切れ長の鋭い瞳に薄い唇。
どっからどう見てもヤンキーである。
「…いかにも私は早見紗英だけど…」
私の答え方が気に食わなかったのか、ヤンキーがはぁ、と息を吐き出した。
「聞き方変えるわ。あんた、みなみ保育園の早見紗英だよな?俺のこと覚えてねーの?」
みなみ保育園…いかにもそこは私の通ってた保育園だけど。俺のこと…?
頭上を『?』でいっぱいにする私に、ヤンキーがまたため息をついた。そして薄い唇を開く。
「…たまごタルト」