もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
「ったく、いつも寝てるなぁお前は」
ようやく、のっそり体を起こした京星くんに呆れ顔の先生。
「ここの現代語訳してみろ」
「あー…」
京星くんは無言で数秒間黒板を見つめた後、
「わかりません」
あっさりギブアップした。
教室のあちこちからクスクスと笑いが漏れる。
「…和原、お前なぁ」
先生は深いため息をつくと、
「よっしゃ分かった。放課後職員室に来い。みっちり説教だ」
「えー」
「えーじゃない。来なかったら古賀先生に言いつけるからな」
古賀先生というのはバスケ部顧問の先生だ、たしか。しかも怖かった気がする、たぶん。
「…きったねぇ」
先生が授業に戻った後、京星くんがボソリと呟いた。
「…どんまい。まぁ。寝てる方も悪いと思うよ?」
恐る恐るそう言ってみると、京星くんはジロリと鋭い瞳を私に向けた。
「ま、そうだけど。顧問出すのはやっぱ汚くね?あ、いつも起こしてくれてサンキューな」
「……いえいえ」
あ。やばい。今ちょっと。
不貞腐れながらもちゃんとお礼を言う姿に、キュンとしてしまった。