もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
私の腕を引っ張ったままどんどん廊下を歩いていくハヅキ。
休み時間、廊下に出ていた生徒たちが何事かと注目している。
と思ったら突然教室のドアを開けて、その中に乱暴に押し込んだ。
「っわ、」
転びそうになったけどなんとか踏みとどまる。
誰もいない選択教室。
乱暴にドアを閉めたハヅキが、私を見て笑顔を作った。
「ありがと、来てくれて」
「いや、あんたが無理矢理つれてきたんでしょうが!」
「細かいことはどっちでもいいよ」
いや全然細かくないけど、と反論する前に、ハヅキが距離を詰めてくる。
思わず後ずさると、腰に机がぶつかった。
ガタ、と机のずれる音がする。
「………」
無言で私を見下ろすハヅキ。いつの間にか笑顔は消えていた。
感情の読めない、無機質な瞳で私を見ている。
「…な。なんなの一体…」