もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
ハヅキが体勢を崩した隙に体を起こした。
頬を抑えたハヅキがうらめしそうに私を見ている。
「まさかのグーパンチ…」
つかまれていない方の左手で思いっきりお見舞いしてやった。左手だから威力は弱かったかもしれないけど、渾身の一撃だ。
「はっ、ハヅキが悪いんだからね!?い、いきなりこんなこと…!」
「こんなことって?」
「は!?」
「さぁちゃんってさぁ、処女?」
「な!?!?」
いきなり何言い出すんだこの男!?
ハヅキは静かな笑みをたたえたまま私の反応を伺っている。
渓渡とはキス止まりで、そういう経験は…まだ人生で一度もない。
だけど。そんなことわざわざ他人に教えたくない!特にハヅキには!!
「言いたくな…」
「ふーんやっぱ処女か」
勝手に決めつけたハヅキがそう言って怠そうに立ち上がった。
「でもよかった。危うく殺すところだった」
おまわりさーん!!!