もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
まさか。まさかまさか。
「…どうしたの?」
突然立ち上がった私を、京星くんが驚いたように見上げた。
「…いやっ…あの…とっ、トイレ行ってくる!!」
そう叫び、首を両手でガードして教室を飛び出す。向かった先は宣言通り女子トイレ。
の、鏡を覗き込んで。
「やっぱり…!」
首筋に残る赤いアザ。
虫刺されのようにも見えるそれだけど、たぶん見る人が見たら、明らかなキスマーク。
心当たりなんてもちろん一つしかない。
あんの…っ、変態犯罪者予備軍悪魔ァ!!
人生でそれをつけられたことなんてもちろん初めて。
不本意な、所有印。