もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
…とりあえず誰にも気付かれないようにしなくては。
これってどのくらいで消えるんだろ。明日には消えてるのかな…?
ていうかハヅキ、絶対許さん!!!
怒りを燃え上がらせながらも髪の毛を不自然なほど内側に寄せ、キスマークを隠しトイレを出た。
ほんっと最悪。最低。最悪最悪最悪!
「紗英」
「えっ」
トイレを出て少し歩いたところで呼び止められた。振り向くと壁にもたれかかった京星くん。全然気付かなかった。
「大丈夫?」
歩み寄ってくる京星くん。
私の目の前で足を止めて、じっと私の首筋辺りを見る。
…きっと今は見えないはず。だけどなんか、透視でもされてる気分…!
思わず髪の毛の上から首筋をおさえると、顔を上げた京星くん。視線が交わった。
「それ、ハヅキ?」
「……え!?」