もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
な、ななっ、な何で
「何でわかったの!?」
「…やっぱり。意外とオコチャマだな、あいつ」
京星くんが、は、と僅かに息を吐き出した。
「紗英とハヅキってどーゆう関係?」
「ど、どーゆう…」
じっと京星くんが私を見てる。
私とハヅキの関係。
「…復讐相手?」
「…なんかハヅキにされたの」
「いや、私が」
「は?」
そのとき昼休み終了を告げるチャイムが鳴った。もうすぐに五時間目の授業が始まる。
少しの沈黙の後、京星くんがガシガシ頭を掻いた。
「…ま、なんか困ったことあったらいつでも話せよ」
「…いいの?」
「いいよ。言ったろ?紗英、俺の妹みたいなもん」
そして私の頭にポンッと手を置くと、少しだけ口角をあげた。
わずかに覗く八重歯。
…変わってない、京星くん。
やっぱり昔から、誰よりもかっこいい。――私の初恋の人。
「…困ってる…!」
気付いたら。
歩き出した京星くんのワイシャツを、後ろからつかんでいた。