もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
逃げられないから、逃がさない。
「じゃーな」
「う、うん。じゃーね。送ってくれてありがとう」
「あたりまえ」
…あたりまえ…なのか…。
徐々に遠ざかる京星くんの背中に、まだ心臓がドキドキする。
“すっげー好き”
あれはプラネタリウムのことであって私のことなんかじゃない。そんなことわかってる。わかってるのに。
ドキドキが止まらない…!なぜ!?
っていうか今日、なんかすっごくホントのデートっぽくなかった!?
京星くんの背中が角を曲がって見えなくなって、そこでようやく我が家のドアに手をかける。
「ただいまー…」
いつもの習慣でそう言ったけど、浮かれた頭のせいで気付かなかった。
見知らぬメンズモノの、綺麗に磨かれたローファーに。