もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
「…なっ。え、な!?」
言葉も出ない、とはまさにこういう状況を言うのだろう。
「あはは、なんかびっくりしてますね」
「そーねぇ。挙動不審にもほどがあるわー」
パニックに陥る私を前に、呑気にそんな会話をする二人。
「…おっおかーさん!」
とりあえず私はお母さんに詰め寄った。
「こっ、ここここれ!何!?」
「やーねぇ、何が」
「なんでハヅキがいるの!!」
「何でって、ハヅキくんが遊びに来てくれたから。
紗英に用事があったみたいだったけど、あんた全然帰ってこないんだもん。
だから待ってってもらったの」
ねー?とハヅキに同意を求めるお母さん。
上品な手つきでティーカップを口に運んでいたハヅキが、にっこり微笑んだ。
ていうかそんなオシャレなティーカップ見たことない。
そしてハヅキの目の前に広がるたくさんのお菓子。クッキーにチョコ、マカロンにアドレーヌ。さっきの甘い匂いはこれか!
めちゃくちゃ、もてなされている…!
「それにしてもほんとびっくり」
お母さんがうっとりとした顔でハヅキの隣に座った。
この表情。ドラマの佐藤健を見るときと同じ顔だ…!
「まさかあの可愛かったハヅキくんが、こっ…んなに、イケメンになるなんて!」