もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
「…紗英」
笑みを消した京星くんが、切れ長の瞳で私を見つめる。
「俺さ…」
ガラッ…!
京星くんの言葉を遮るように勢いよくドアが開いて、ハヅキが入ってきた。
パッと慌てて京星くんから視線を逸らす。
や、やばかった。なんか今!ダメだよ私ドキドキなんかしたら!
京星くんは私に頼まれて仕方なく彼氏役やってくれてるだけなんだし。ドキドキなんてされたら迷惑…!
そう言い聞かせる私の机に、ドサッと乱暴に置かれた白い束。
「…これ何?」
顔を上げると、ハヅキがにっこり微笑んだ。
「小テスト。全教科の。俺がちょこっと大事なとこまとめてみた」
「ちょ、ちょこっと!?これが!?」
とんでもなく量あるんですけど…!
隣を見ると、京星くんもわずかに眉を寄せている。
「悪いけど。俺バカって嫌いなんだ」
私の前の席の椅子をひいてハヅキが座る。
「だからやるからにはとことん、やらせてもらう。覚悟して?」