もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
まるで呪縛みたいだ。
“初恋”という甘美な響きのオソロシイ呪い。
いや、そもそも“恋”なのか?もうそれすら分からない。
だけどとにかく俺はこの呪縛を解きたくて。
「ねーハヅキ。きょうね、夜家に誰もいないんだけど…くる?」
その日も俺は、カノジョと、カノジョが行きたいというカフェに向かって歩いていた。
中2の時から俺は異様にモテるようになった。どーやら顔がいいらしい。
何人目のカノジョだったか…どーでもいい。興味ない。すきじゃねーし。ていうか、すきって何?
なんでもいいけど。
「…うん。行こうかな」
誰かはやく解き放ってよ。
隣を歩くカノジョの唇を塞ぐ。
…なんの味もしない。
無味無臭。いつもそうだ。つまらない。ていうか女って、なんでどいつもこいつもこんな簡単にキスされんのかな。
ま、キスしてんのは俺なんだけど。
カノジョの唇から唇を離して、手を引いて歩き出す。
つーか歩き疲れたわマジで。
新しく出来ただか映えるだか知んねーけど、電車で一時間半もかけてくる意味あんのかよ。マジくだん…ね…
「ねー渓渡?次ここ行こ?」