もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
…階段の下からでもわかる。
ハヅキは笑ってるのに、全然“笑ってない”ってこと。
小さく息をのんだ瀬田さん。
だけど負けじと口を開く。
「は、ハヅキはムカついてないの?こんな子にたぶらかされて捨てられて…!」
「誰が捨てられたって?」
笑みを深めたハヅキが瀬田さんに一歩近づく。
なんとも言えない威圧感に、後退りする3人。
「俺の心象に関わるなー、その表現」
「ハヅキ…」
「取り消して?
つーか捨てられるとかないから。
早見さんは元々俺のだし。ね?」
そして小首をかしげてクスッと笑うと、次の瞬間には笑顔を消した。
「あーあ。残念。男だったら血祭にあげてやんのに」
「…っ!」
「さっさと消えて?まじで目障り」
ハヅキの言葉に3人は悔しそうに唇を噛むと、バタバタと階段を下りていった。
私の横をすり抜ける瞬間、一瞬悔しそうな、怯えたような視線が注がれる。
「…さぁちゃん」