もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
そう言いつつ、もう片方の手も追加されて両頬をつままれ、グニョンと引っ張られる。
「いひゃい…」
「だから俺はいーんだって」
ふ、と目を細めるハヅキ。なんか楽しそう…。
だけど今やハヅキは命の恩人。
やめてよ!と強く振り払う気にもならず、グニョグニョとされるがままになっていると、切なそうに口角を歪めたハヅキがギュッと私を抱きしめた。
「…ほんとに大丈夫?ケガしてない?」
なんだか縋るみたいな、ハヅキの声。
「う、うん。私は大丈夫…」
「…そ」
後頭部に回されたハヅキの手が優しく撫でてくる。
…まるで慈しむみたいな手つきに
調子が狂う。