もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
綺麗な笑顔だけ残して、ハヅキは颯爽と歩き去っていった。
ハヅキのどこか少しだるそうな背中にすぐさま、「ハヅキおはよー!」と駆け寄ってきた女子の手がまわる。
私は慌てて辺りを見渡した。
…よ、かったぁー。幸いあの一瞬のキスは誰にも見られてなかったみたい。
ホ、と胸を撫で下ろして、私も教室へ足を進める。
ハヅキと行先は同じだから、自然と何メートルか先にはハヅキ。
…あー。やだな。なんでだろ。
今の一瞬のキスに、ドキッとしてしまった自分がいやだ。まじで嫌だ…。