もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
「いってらっしゃーい」
さっきまでとは打って変わったキビキビとした動きでスポーツバッグを肩にかける京星くんにそう声をかけると、ピタリと動きを止めた。
少しの間のあと、
「…見に来る?」
そう言われる。
「え?」
「部活。よかったら見に来れば?」
「…え。いいの?」
「いーよ。普段から見学してる奴もけっこういるし」
マジで!
「行く!」
ずっと見たかったんだもん、京星くんのバスケ姿!
あー、でも
「…行き…たいけど、学祭の準備が…」
一時間経つと、部活組は部活に行ってしまう。
準備の時間は限られてるから、帰宅部組の私たちはがんばらないと…
「いってきなよ」
それまで黙ってメニュー表の色塗りをしてくれていた彩心が、色塗りの手を止めないまま言った。
「いいでしょ、別に1日くらい」
いい…のかな?
「それに」
彩心が続ける。
「今日高橋くんいないし」