もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
なんで。
なんで急にこんなこと思い出したの?
ぜんぜん、覚えてなかったのに。
「…紗英?」
急に黙り込んだ私を、京星くんが不思議そうに見る。
「…あ、ご、ごめん…!
なんか突然古い記憶がフラッシュバックして…!」
「古い記憶?」
目を細めた京星くんが私の手を離す。
そして空を見上げた。
いつの間にか、夕方を通り越して夜。
空にはいくつもの星が輝いている。
「…紗英」
夜空を見上げたまま、京星くんが言った。
「…俺まだ、お前のこと諦める気も、…あいつに負ける気もない。
それだけは覚えといて」