もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
振り向くと、制服姿のハヅキが、顔をひきつらせて立っていた。
「オネーさんキッチン係の人ですよねー?てかお仕事はもう終わりでしょ?」
わざとらしい敬語から、機嫌が悪いのが伝わってくる。
「しょーがないでしょ、彩心が急に具合悪くなっちゃったんだから!ピンチヒッターだよ!」
「ピンチ…ヒッター?なにそれ」
ふん、とバカにしたように唇を歪ませるハヅキ。
「さぁちゃんじゃムリだよそんな大役。バカじゃないの今すぐ脱ぎなよ」
「そ、そこまで言わなくても…!みんなは似合ってるって言ってくれ…」
「お世辞でしょー?それくらい分かれよバカ」
「なっ!」
「ごめんね、高橋くん」
ハヅキの後ろから具合の悪そうな彩心が現れた。
手にはカバンを持っている。
「…私のせいなんだけど。でも、紗英のおかげで早退できる」
「…大丈夫?工藤さん。よかったら玄関まで送ろうか」
さっきまでとは打って変わって、優しい声を出すハヅキ。
この二重ジンカク…!