もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
「は?何それ、どういうこと?」
その問いに返事はない。
見ると、ハヅキは目を閉じていた。マスカラを塗られたまつ毛はいつもよりも濃く、長い。
「ハヅキ!?」
「うるさ…大声出さないでよ、疲れてんの」
「疲れたって…」
「がんばりすぎたかな」
ハハ、と力なく笑うハヅキ。
たしかにハヅキは頑張っていた。
午前のホストも、午後のメイドも。…メイドに関しては係でもないのに何でやったのか、意味不明だけど。
「がんばりすぎだよ。京星くんのお客さんまで奪って」
「勝負には勝つ。どんな手使っても。基本でしょ」
「勝負って…。知らなかった、ハヅキって負けず嫌いだったんだね」
保育園の頃のハヅキはいつも可愛くて優しくて、天使みたいで。しょっちゅう私とか、イジメっ子の男子に泣かされていた思い出しかない。
「……誰のせいだと思ってんの?」