もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】




「は?何それ、どういうこと?」



その問いに返事はない。



見ると、ハヅキは目を閉じていた。マスカラを塗られたまつ毛はいつもよりも濃く、長い。




「ハヅキ!?」



「うるさ…大声出さないでよ、疲れてんの」



「疲れたって…」



「がんばりすぎたかな」




ハハ、と力なく笑うハヅキ。



たしかにハヅキは頑張っていた。


午前のホストも、午後のメイドも。…メイドに関しては係でもないのに何でやったのか、意味不明だけど。




「がんばりすぎだよ。京星くんのお客さんまで奪って」



「勝負には勝つ。どんな手使っても。基本でしょ」



「勝負って…。知らなかった、ハヅキって負けず嫌いだったんだね」




保育園の頃のハヅキはいつも可愛くて優しくて、天使みたいで。しょっちゅう私とか、イジメっ子の男子に泣かされていた思い出しかない。





「……誰のせいだと思ってんの?」





< 314 / 537 >

この作品をシェア

pagetop