もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
その時だった。
「何やってんの?」
下から聞こえた冷たい声。
見ると、険しい顔した渓渡が階段の下に立っていた。
「っ渓渡!」
慌ててハヅキから距離をとる。
「な、何でここに…?」
「…昨日のこと聞きたくて。でも教室行ったら紗英いないし、工藤に高橋葉月と教室出てったって聞いて」
「昨日のこと…」
キス、のことだよね…
「じゃ、俺は戻るねー」
ピリピリした雰囲気をぶち壊す、ゆるい声でそう言って、ハヅキが階段を下り始めた。
「…待てよ高橋」
ちょうどすれ違う瞬間、渓渡がハヅキを呼び止めた。
「…なにー?」
だるそうにハヅキが立ち止まる。