もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
…じゃぁ何で、こんなに心臓はやいの。こんなに汗かいてるの?
公衆の面前で思いっきりハグされてるけど、なんでかいつものように引きはがす気にはならなかった。
顔を胸に押し付けられているせいで、周りが見えないせい?
それとも、あまりにハヅキが近くて。
ハヅキの心臓の音しか、聞こえないせい?
「…さっき、ありがと。助かった。急に手とかつかまれて、びっくりした…」
「……へぇ」
「ハヅキって…なんだかんだ、いつも私のこと助けてくれるよね」
階段から落ちたときも。
学園祭のとき、ちょっとコワい後輩男子に絡まれてたときも。
「…見つけてくれて…ありがと」
「……あたりまえでしょ」
頭上で、ハヅキがかすかに笑った気配がした。
「何年さぁちゃんのこと追いかけてると思ってんの?」