もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
私の手を握るハヅキの温度があまりに優しくて
わかんなくなった。
ハヅキは私を恨んでて、私のことが嫌いって、わかってるのに。
嫌いなのに何で助けてくれるんだろ、とか
何でこんなに優しく手引くんだろ、とか
小さな疑問がぽつぽつ生まれて、少しずつ
――大きくなって。
「…ハヅキ」
なんだかこわくなって、前を歩くハヅキに声をかけるけど
その声は、まわりの喧騒にかき消され…
「なーに?」
すごく小さな声だったはずなのに。
ハヅキは振り向いた。
「…な…なんでもない」
呼んだはいいけど、わからなくなる。
たぶんきっとこれは、ドリームランドっていう、非日常的空間が見せる錯覚。幻だけど。
”さぁちゃんが俺の知らないとこで知らない男に声かけられてたり、触られてたり、誰かにチュロス“あーん”されてたり、優しくされてたり
すっごいムカつくんだよねそーゆうの”
一瞬、
どうしようもなく私のことが好き
って、聞こえた気がしたの。