もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
「浮気してんだ?あいつと」
乱暴な足取りで階段をのぼってきた渓渡が、冷たい目で私を見下ろして言った。
「ちがっ…!」
「何が違うんだよ?昨日だって俺に見せつけるみたいにあんな所でキスして。電話もラインも何もこねーし」
「そ、それは…!」
それは、正直、イケメン転校生の正体がハヅキだったことと、復讐宣言されたことに頭がいっぱいで…
「…色々あって混乱してた…でも浮気とかじゃないよ!ほんとに違うから!」
「…は、今だってこんな所で密会してたくせによく言うよ。キスとかしといて浮気じゃないわけねーだろ」
「そ、それは…」
『ふ・く・しゅ・う』
「…ハヅキの…作戦だと思う」
「はぁ?何言ってんの?」
「ハヅキ、色々あって私のこと恨んでるから、渓渡と私を別れさせようとして…」
私が言ったことは本当。本当なのに
「…意味わかんねー」
渓渡には届かない。