もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
無駄な優しさは与えたくない
――目が覚めたときの色はくすんだ白だった。
鼻を刺す消毒液の匂い。すごく、静か。ここは…
「目、覚めた?」
顔を横に向ける。ベッドの隣のパイプ椅子に座ったハヅキが、無機質な顔で私を見ていた。
ハヅキはジャージ姿だ。
だんだん意識がクリアになる。
そうだ、私、体育館で急に具合悪くなって…
体を起こそうとしたらズキッとしめつけるような頭痛。
ハヅキが私の肩を押して強制的に寝かしてくる。
「動かないで。さぁちゃん、今自分が何度あるか知ってる?39度2分」
ハヅキは心配しているのか、呆れているのか、なんともいえない表情を作って、私に布団をかけなおした。