もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
――だけど、その手つきはすごく優しい気がした。私の額にのせた手も、優しい気がした。
「…あっつ」
ハヅキが顔をしかめて手をはなす。
それにしても、39度2分…
体の調子が悪いなとは思ってたけど、そんなに高熱があるとは思わなかった。
「…ハヅキが運んでくれたの?」
「…まーね。さぁちゃんを他の奴に触らせたくないし」
ハヅキはたまにこういうことを言う。
“嫌い”だけでは処理できない、私の足りない頭では。
「水でも飲む?」
椅子から立ち上がって、ウォーターサーバーに向かうハヅキ。
「…ありがと」
「べつに?」
ハヅキが優しい。いつもよりもなんか、優しい。
「はい」
ハヅキから紙コップを受け取る。飲むと、ひんやり喉が潤った。