もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
コップここ置いておくから、ぬるくなるし。俺イイヒトだから、教室からカバン持ってきてあげるよー。
ハヅキはそう言って、保健室を出ていった。
さっき自分でイイヒトじゃないって言ったくせに…。
紙コップに手をのばして、水を一口飲んだ。
ベッドに寝転ぶと、いまさらになって体が熱いのを実感した。いつもとは違う、高熱のときならではの独特な感じ。
“…好きになってくれるの?”
“じゃぁ、優しくしない”
―――見返りって何?
ハヅキはいつも、言葉が足りない。
肝心なところははぐらかして、あの完璧な笑顔で煙に巻く。そんな感じ。
…たぶん、うぬぼれてるのは、熱のせい…
それ以上は何も考えられなくて、私はゆっくり目を閉じた。