もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
「…じゃぁ行くね?」
さぁちゃんと自分の分のカバンを持って歩きだそうとしたら
「ハヅキ」
呼び止められた。
ついでに、こいつに軽々しく呼び捨てにされてんのもムカつく。
「…お前がそう言うんなら、俺はそれを信じるけど。いいんだな?」
「…は?」
「俺は紗英が好きだよ」
和原京星はやっぱり無表情だ。
でも言葉はバカみたいにストレート。
「…で?」
お前の気持ちなんてとっくに知ってる。
一瞬でも動揺したことは悟られたくない。悟られてたまるか。絶対、こいつだけには。
笑顔を作る俺に、京星くんはジロリと鋭い瞳を向けたまま言った。
「だけどハヅキは紗英のこと好きじゃないんだろ」
「…だったら?」
「だったら俺がもらう」
和原京星は、もう俺を見ていない。
「…お前はひっこんでろ。紗英に近づくな」