もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
「あー…うん。家まで送ってくれた…」
…なぜか小声になってしまった。なぜ。
「…ふーん、そっか」
彩心が何か考えるように私をじっと見る。
「え、なに?」
「…紗英と高橋くんって今どうなってんの?」
「ど、どう…とは!?」
「…別に、まぁ私が口をはさむことじゃないけど」
彩心が私から視線を逸らして、机の中を探りながら言った。
「紗英が倒れる瞬間、は私は見てなかったんだけど。紗英のこと抱えて保健室に飛んでったから、高橋くん。…すっごい必死の形相で」
「…えぇ!?」
ハヅキが…必死の形相!?
想像してみたけど、ムリだった。
ハヅキといえばあのニコニコ涼し気な笑顔がトレードマーク。必死の形相、なんてとても浮かんでこない…。
「…幻覚?」
なぜか呆れたようなため息をついた彩心。
「…そう思いたいのなら止めないけど。
これ、ノートのコピー」
「…ありがと」
彩心からコピーを受け取る。
自分の席の方を見ると、隣の席で頬杖をついているハヅキと目があった。
…なぜかあの帰り道のことを思い出して、ドキッとしてしまう。