もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
さいごに、10秒だけ
「どうしたの京星くん、話って」
SHRを終えて選択教室に来ると、京星くんはすでにいた。
窓際の席の机に腰かけて、ぼんやり外を眺めている。
私が入ってきたのに気づくと、立ち上がって窓にもたれかかった。
「ていうか…今日部活は?休み?」
「まぁ。そんなとこ」
「そっか。それで、どうしたの?」
こんな風に、京星くんに呼び出しされたのは初めてだ。
グラウンドから野球部や、サッカー部の声やホイッスルが聞こえる。
だけどここだけは、そんな空間から切り取られたみたいに、静か。
「…あのさ」
京星くんがもたれていた窓から、背中をはなす。
「俺やっぱ、紗英のこと好きだよ」